医療福祉の税務情報
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文書作成日:2024/03/15
令和6年度税制改正の大綱 福祉施設編

昨年12月に、令和6年度税制改正の大綱が閣議決定されました。今回はこの中から、福祉施設の経営に関する主な項目を取り上げます。

改正(案)事項

 福祉施設の経営に関連する主な税制改正案は、次のとおりです。

1.障害者総合支援法の改正等に伴う税制上の所要の措置

 税制上の取扱いのもととなる法律等が改正等されることに伴い、現行の制度内容が継続できるように所要の措置を講ずる。

制度の内容

  1. 障害者総合支援法等の一部改正法に伴う障害福祉サービスの創設等について
    1. 令和4年12⽉に成⽴した障害者の⽇常⽣活及び社会⽣活を総合的に⽀援するための法律等の⼀部を改正する法律(令和4年法律第104号)において、@新たな障害福祉サービス(就労選択支援)を創設するとともに、既存の障害福祉サービスについて、A対象者の拡大(就労継続支援)、B支援内容の拡充(共同生活援助)を⾏い、令和6年4⽉1⽇以降の施⾏を予定している。
    2. 現状、障害福祉サービス事業等を⾏う場合は、社会福祉法(昭和26年法律第45号)上の社会福祉事業を⾏う場合に該当し、その公益性等に鑑みて、事業の用に供する固定資産に係る固定資産税・都市計画税の非課税措置、事業の⽤に供する不動産に係る不動産取得税の非課税措置、事業の用に供する施設に係る事業所税の非課税措置といった税制上の優遇措置の適用を受けることができる。
    3. 上記@の新設された障害福祉サービス、上記A・Bの対象者・⽀援内容が拡⼤された障害福祉サービスを⾏う場合についても、その公益性等に鑑みて、現⾏と同様に固定資産税等を⾮課税とする措置を講ずる。
  2. 特別児童扶養手当証書の廃止について
    1. 所得税法(昭和40年法律第33号)等の規定において、特別児童扶養手当証書が本人確認書類として位置づけられている。
    2. 特別児童扶養手当証書が廃止され、送⾦通知書払いや地⽅⾃治体による⽔道料⾦の減免などの他の制度における申請⼿続等において支障が生じるため、政省令において特別児童扶養⼿当証書を廃⽌する⼀⽅で、送⾦通知書払いの者等に対しては「特別児童扶養手当受給証明書」(仮称)が交付されることから、当該証明書を本人確認書類に追加する。
  3. 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における就労移⾏⽀援の定員引き下げについて
    1. 障害者の⽇常⽣活及び社会⽣活を総合的に⽀援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく就労移⾏⽀援について、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、定員規模を引き下げることを予定している。
    2. 就労移⾏⽀援について、定員規模の⾒直し後も、引き続き収⽤交換等の場合の譲渡所得の特別控除等に係る簡易証明制度の対象とする。
2.定額減税の源泉徴収事務

 合計所得金額が1,805万円以下である居住者について、居住者である扶養家族(同一生計配偶者又は扶養親族)を含めて、1人あたり所得税3万円と住民税1万円の定額減税を実施する。実施方法の一例として給与の支払者は、令和6年6月1日以後に支給される給与等(賞与を含む)に係る源泉徴収から順次実施し、住民税(特別徴収)は地方公共団体が定額減税考慮後の住民税を算定し、算定後の令和6年度分について令和6年7月から令和7年5月にかけて11回の特別徴収を行う。

制度の内容(給与所得者に対する定額減税に係る源泉徴収事務)

■源泉所得税

給与所得者に対する所得税の定額減税は、扶養控除等申告書を提出している給与所得者(いわゆる甲欄適用者)に対して、その給与の支払者のもとで、その給与等を支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除する方法で行われる。給与の支払者は、令和6年6月1日以後に支払う給与等(賞与を含む。以下同じ)に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務(以下、月次減税事務)と、年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を行う事務(以下、年調減税事務)の2つの事務を行う。

■住民税(特別徴収の場合)

定額減税の適用対象者については、令和6年6月分は均等割・森林環境税も含めて徴収せず、令和6年7月分以降は「定額減税「後」の税額」を令和6年7月分〜令和7年5月分の11ヶ月で均した地方自治体からの通知書をもとに徴収する。

3.その他
  1. 賃上げ促進税制
    …給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に、看護職員処遇改善評価料及び介護職員処遇改善加算その他の役務の提供の対価の額が含まれないこととするなど、一定の見直しをした上で、その適用期限を3年延長する。なお、中小企業向けの措置は5年間の繰越しも可能とするなどの措置も講じられる。

  2. 中小法人の交際費課税の特例の拡充及び延長
    …定額控除限度額(800万円)までの全額を損金算入可能とする特例措置を3年間延長する。また、会議費の実態を踏まえ、交際費等から除外される飲食費に係る基準(1人あたり5,000円以下)の1万円への引上げを行う。

  3. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長
    …適用期限を2年間延長する。

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