医療福祉の税務情報
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文書作成日:2024/02/15
令和6年度税制改正の大綱 医療機関編

昨年12月に、令和6年度税制改正の大綱が閣議決定されました。今回はこの中から、医療機関の経営に関する主な項目を取り上げます。

改正(案)事項

 医療機関の経営に関連する主な税制改正案は、次のとおりです。

1.地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の延⻑

 医療機関の開設者が、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に規定する認定再編計画に基づく医療機関の再編に伴い取得した⼀定の不動産に係る不動産取得税の課税標準の軽減措置について、適⽤期限を2年延⻑する。

制度の内容

地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)に規定する認定再編計画(地域医療構想調整会議において合意されていることが条件)に基づき取得した不動産(用地・建物)に係る不動産取得税の課税標準について、価格の2分の1を控除する措置の適⽤期限を2年延⻑し、2026年3⽉31日までとする。

2.改正感染症法の流行初期医療確保措置による収入の非課税措置の創設等

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正に伴い、流行初期医療確保措置に係る収入について社会保険診療報酬の所得計算の特例の対象となることを明確化する措置や、事業税を非課税とする措置等を講ずることとする。

制度の内容

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の改正に伴い、措置される流⾏初期医療確保措置に係る収⼊は、社会保険診療による収⼊の代替となるため、税制上で同様に取り扱うこととし、一定の措置等を講ずる。

3.その他
  1. 所得税・住民税の定額減税
    …合計所得金額が1,805万円以下である居住者について、居住者である扶養家族(同一生計配偶者又は扶養親族)を含めて、1人あたり所得税3万円と住民税1万円の定額減税を実施する。実施方法の一例として給与所得者については、所得税は2024年6月1日以後に支給される給与等(賞与を含む)に係る源泉徴収から順次実施し、住民税(特別徴収)は地方公共団体が定額減税考慮後の住民税を算定し、算定後の2024年度分について2024年7月から2025年5月にかけて11回の特別徴収を行う。

  2. 賃上げ促進税制
    …給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に、看護職員処遇改善評価料及び介護職員処遇改善加算その他の役務の提供の対価の額が含まれないこととするなど、一定の見直しをしたうえで、その適用期限を3年延長する。なお、中小企業向けの措置は5年間の繰越しも可能とするなどの措置も講じられる。

  3. 中小法人の交際費課税の特例の拡充及び延長
    …定額控除限度額(800万円)までの全額を損金算入可能とする特例措置を3年間延長する。また、会議費の実態を踏まえ、交際費等から除外される飲食費に係る基準(1人あたり5,000円以下)の1万円への引上げを行う。

  4. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長
    …適用期限を2年間延長する。

  5. 法人版・個人版事業承継税制に係る所要の措置
    …コロナの影響が長期化したことを踏まえ、法人版・個人版の特例承継計画の提出期限を2年延長すること(2026年3月31日まで)とし、適用期限の到来に向けて、早期事業承継への支援体制の構築を図る。

4.検討事項

 検討事項としては、以下の項目が引き続き掲げられています。

  1. 社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続〔事業税〕
  2. 医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続〔事業税〕
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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